射雕英雄伝 レジェンド・オブ・ヒーロー
評価 3.9 (3.9 / 5)
ヤン・シューウェン(郭靖)
リー・イートン(黄容)
チェン・シンシュー(楊康)
モン・ズーイー(穆念慈)
純粋で真っ直ぐな郭靖と野心を抑えきれない楊康の対照的な二人を中心に多くの江湖の魅力的な強者が複雑に絡み合いながら進んでいくストーリ。さらに純粋な郭靖と美人で頭脳明快な黄容の恋愛をはじめ多くの恋愛も描かれています。
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射鵰英雄伝 あらすじ全話一覧
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あらすじ
1話
牛家村に住む郭嘯天(かく・しょうてん)と楊鉄心(よう・てっしん)は、武芸の達人らしい通りすがりの道士を酒席へと招いた。道士の名は・丘処機(きゅう・しょき)――共に国の行く末を憂う者同士、彼らはすぐに意気投合。丘処機は2人の求めに応じ、間もなく生まれてくる嘯天の子に郭靖(かく・せい)、鉄心の子に楊康(よう・こう)という名を授けるのだった。やがて、丘処機が去った牛家村に官兵が大挙して現れ…。
2話
丘処機(きゅう・しょき)が酔仙楼へ来てみると、段天徳(だん・てんとく)の姿はなく、待っていたのは焦木(しょうぼく)大師ただ1人であった。先日と同じように、段天徳という男は知らないと語る焦木大師。彼は、丘処機の誤解を解くために友人に仲裁を招いたのだという。「援軍を呼ぶために3日待てと言ったのか」と気色ばむ丘処機。そこに現れたのは“飛天蝙蝠”柯鎮悪(か・ちんあく)率いる江南七怪だった…。
3話
郭靖(かく・せい)とトゥルイは、ウサギをめぐってトサカと言い合いになっていた。オンカーンの孫にあたるトサカは、その家柄を笠に着て、普段からやりたい放題。今日は、郭靖たちが仕留めたウサギを自分の物だと言い張っていたのだ。言い争いは、やがて殴り合いのケンカに。腹を立てたトサカは岩を振り上げた。それを止めたのは、通りすがりの7人組。風変わりな一行は、“郭靖”という名を耳にするや顔色を変え…。
4話
名も知らぬ道士に言われるがまま、深夜、崖の上までやってきた郭靖(かく・せい)は、呼吸法など指導してもらえることに。その道士は詳しいことを語ろうとはしなかったが、彼が郭靖に教えていたのは内功の極意。1年もの間、密かに続けられた修行を通じて、郭靖は自分でも知らぬうちに内功を身に付けていった。しかし、教えていないはずの内功を郭靖が身に付けていると気づいた江南七怪は、“謎の師匠”の意図に疑いを抱き…。
5話
金国と結んでテムジンを急襲するも、手痛い反撃に遭ったセングン。彼らを予想外の苦戦へと追い込んだのは、事前に計画を知ってテムジンの行動を諌め、黄河四鬼を蹴散らしてトサカを捕虜とした郭靖(かく・せい)の活躍であった。その夜、テムジンの軍営に、単身ジャムハが乗り込んだ。投降すれば命は取らぬと言うジャムハに対し、テムジンは「戦死しても絶対に降伏はせぬ」と告げるのだった。翌朝、両軍は激突し…。官兵がやって来る。
6話
助けてやった物乞いの少年・黄蓉(こう・よう)にお説教を始めた郭靖(かく・せい)。その生真面目さに嫌気がさした黄蓉は、郭靖を置いて食堂を飛び出していった。1人になった郭靖が張家口の街を歩いていると、行く手を阻む者が。蒙古で恥をかかされた黄河四鬼が師叔・侯通海(こう・つうかい)を伴って、遺恨を晴らそうと現れたのだ。侯通海と手合わせになるも、敗れた郭靖は黄河四鬼たちに捕まってしまい…。
7話
完顔康(ワンヤン・こう)の父である趙(ちょう)王・完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)が大業を成すために腕の立つ武芸者を集めているので、王府に立ち寄ってほしいという。蒙古での因縁を考えると、趙王とは顔を合わせたくない郭靖(かく・せい)。気が進まないながらも王処一(おう・しょいつ)と共に趙王府を訪れてみれば、そこには黄河四鬼の師匠・沙通天(さ・つうてん)と師叔・侯通海(こう・つうかい)たちが…。
8話
霊智(れいち)上人らと共に酒席を囲んでいた完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)は、書庫で見つけた暗号めいた詞を見つけ、それを解読したのだと話し始めた。その結果、悲運の名将・岳飛(がく・ひ)が、己の学んだ戦略や戦術を書き記した兵法書・武穆遺書の在り処が分かったのだという。同じ頃、趙(ちょう)王府に忍び込み、王処一(おう・しょいつ)のために薬を捜していた郭靖(かく・せい)は、大蛇に襲われ…。
9話
扉を叩く音が。包惜弱(ほう・せきじゃく)が戸口へ行くと、そこには思いつめた表情の穆易(ぼく・えき)が立っていた。逃してくれた礼を言いたいという彼を招き入れる惜弱。彼女の住まいは、かつて楊鉄心(よう・てっしん)と暮した牛家村の家をそっくり移築したもの。その中をさも懐かしそうに穆易は眺め、歩いてゆく。聞き覚えのある言葉、見覚えのある眼差し――惜弱は悟った。目の前にいる男が、夫・楊鉄心であることを…。
10話
ひと休みしようと小屋に立ち寄った王処一(おう・しょいつ)と丘処機(きゅう・しょき)に、突然何者かが襲いかかる。それは、2人を追っ手かと勘違いした穆念慈(ぼく・ねんじ)だった。小屋の中には、趙(ちょう)王府から逃げ出してきた包惜弱(ほう・せきじゃく)と、楊鉄心(よう・てっしん)の姿が。2人が道士たちにこれまでのいきさつを説明していると、外には手下を連れた楊康(よう・こう)が現れ…。
11話
師匠たちが勧める穆念慈(ぼく・ねんじ)との縁談を断った郭靖(かく・せい)。彼が心に決めた相手は、婚約した蒙古の公主・コジンでもないという。柯鎮悪(か・ちんあく)に尋ねられ、郭靖が口にした名は“お蓉(よう)”――江湖に悪名をとどろかせる“東邪”こと黄薬師(こう・やくし)の娘にして、梅超風(ばい・ちょうふう)の妹弟子・黄蓉(こう・よう)だった。師匠たちは驚き、腹を立てて説得を試みるが…。
12話
「18年間、お前を本当の子として育ててきた」――完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)の言葉と情にほだされた楊康(よう・こう)は、燕京に留まることに。彼は、心変わりしたことを責める穆念慈(ぼく・ねんじ)に対し、宋を守るため完顔洪烈よりも先に武穆遺書を手に入れる必要があるのだと説得するのだった。一方、郭靖(かく・せい)は洪七公(こう・しちこう)の絶技・降龍十八掌を授けてもらえることに…。
13話
林の中で1人、“満天花雨擲金針”の修練を積んでいた黄蓉(こう・よう)に、欧陽克(おうよう・こく)の手下たちが襲いかかった。奮戦空しく身動きを封じられ、連れ去られる黄蓉。人里離れた隠れ家で待ち受けていた欧陽克は、猫なで声で黄蓉に迫る。一方、郭靖(かく・せい)と洪七公(こう・しちこう)は、突然姿を消した黄蓉を捜し回っていた。欧陽克にさらわれたのではないかと察しはつくものの、何の手がかりも見つけられず…。
14話
太湖を渡る郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)。風流な釣り人・陸(りく)と出会った2人は、招かれるままに彼の家へ。たどり着いたのは帰雲荘。陸荘主の息子・冠英(かんえい)に、浮世離れした広大な屋敷を案内されるうち、黄蓉はそこに様々な仕掛けが施されていることに気づくのだった。その夜、何やら合図を送り合うようなホラ貝の音を耳にした2人は、「夜は屋敷内を出歩かないように」という警告に逆らい…。
15話
ねぐらにしていた廃廟へと戻った梅超風(ばい・ちょうふう)は、そこに置かれた“木牌の書簡”に触れ、弟子・楊康(よう・こう)の危機を知る。同時に何者かの気配を感じ取った彼女は、曲者に向かって身を躍らせた。相手の正体は、欧陽克(おうよう・こく)と手下たち――梅超風が持つ九陰真経を奪いに来たのだ。欧陽克が操る無数の毒蛇に襲われ、さしもの梅超風も次第に分が悪くなっていく。その時、どこからともなく簫の音が響き…。
16話
朱聡(しゅ・そう)によってイカサマの数々を暴かれた裘千仞(きゅう・せんじん)は、太湖へ飛び込んで帰雲荘を辞した。バカバカしい騒動は終わりを告げたが、同門であった陸乗風(りく・じょうふう)と梅超風(ばい・ちょうふう)との間に横たわる因縁は消えるはずもない。師・黄薬師(こう・やくし)に会うこともかなわぬ身の上を嘆く2人に対し、黄蓉(こう・よう)は「私が取りなしてあげる」と声を上げ…。
17話
男は額を床につけて、自分の命を救ってくれた郭靖(かく・せい)に感謝の言葉を述べた。「段天徳(だん・てんとく)、ご恩は忘れません」――片時も忘れはしなかった名前を耳にして振り返る郭靖。目の前の貧相な男こそ、18年前に彼の父を殺した張本人だった。「仇を討つ」といきり立つ郭靖に対し、段天徳は思いがけない告白をする。あの時、郭嘯天(かく・しょうてん)と楊鉄心(よう・てっしん)を殺めたのは…。
18話
丐幇の余兆興(よ・ちょうこう)と黎生(れい・せい)によると、宝応の地で続いている若い娘の失踪事件には欧陽克(おうよう―こく)が絡んでいるらしい。「懲らしめるしかないわね」と黄蓉(こう・よう)。彼女が立てた策は、自分が欧陽克に目をつけられている程瑤迦(てい・ようか)の身代わりとなり、そのねぐらを郭靖(かく・せい)と丐幇の仲間で包囲して一網打尽にするというものだった。しかし、その策は見破られており…。
19話
楊康(よう・こう)は、完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)を逃したことを郭靖(かく・せい)に告白した。しかし、郭靖は楊康を責めることなく、「恩返しも仇討ちも、同じくらい立派な行いだ」と言葉をかける。楊康と同じように、穆念慈(ぼく・ねんじ)もまた深い迷いの中にあった。楊康はそんな彼女に向かって、牛家村に行って静かに暮らそうと告げるのだった。一夜明け、郭靖と黄蓉(こう・よう)が目を覚ますと、2人の姿はなく…。
20話
郭靖(かく・せい)が桃花陣の中をさまよっていると聞かされた黄蓉(こう・よう)は、彼を救おうと駆け出す。しかし黄薬師(こう・やくし)はそれを制し、「もし手助けをしたら奴を八つ裂きにするぞ」と言い放つのだった。同じ頃、郭靖は周伯通(しゅう・はくつう)から九陰真経が奪われた際のいきさつを聞いていた。寝る時も食事中も肌身離さずいた奥義書が、黄薬師の手に渡った意外な訳とは…。
21話
桃花島にある洞窟の中で、郭靖(かく・せい)は周伯通(しゅう・はくつう)の“遊び相手”になりながら、次々に深遠な武芸を身に付けつつあった。一方、黄薬師(こう・やくし)の亡き妻・馮衡(ふう・こう)の命日は7日後に迫っていた。彼は郭靖を殺すと断言したが、本心では娘の恋心さえ冷めてしまえば命は奪うまいと考えていた。そうした父の心を知る由もない黄蓉は、策を弄して郭靖を島の外へ逃がすつもりでいたのだが…。
22話
「周りの誰もが反対しても一緒になる」――郭靖(かく・せい)の言葉に、黄蓉(こう・よう)は「それなら2人で桃花島を出ましょう」と応えた。そこへ、周伯通(しゅう・はくつう)の助けを求める叫び声が。声のする方へ行ってみると、周伯通は毒蛇に咬まれたらしく、うわ言を言いながら苦しんでいる。黄蓉が止めるのも聞かず、毒を吸い出す郭靖。周伯通が意識を取り戻したその時、3人の前に黄薬師(こう・やくし)が現れ…。
23話
欧陽克(おうよう・こく)と黄蓉(こう・よう)の縁談――その真の目的は、九陰真経を手に入れること。ひた隠しにしていた本心を聞かれてしまった欧陽鋒(おうよう・ほう)は、周伯通(しゅう・はくつう)を追いかけ、彼の口を塞いでしまおうと襲いかかる。騒ぎを聞きつけ集まってくる黄薬師(こう・やくし)たち。老頑童と西毒、達人同士の戦いは勝敗が決まることなく終わりを迎えるが…。
24話
“老頑童”のイタズラ心が、またひとつ厄介事を生んでしまった。九陰真経を巡る誤解から、黄蓉(こう・よう)と郭靖(かく・せい)の縁談は白紙に。そのうえ周伯通(しゅう・はくつう)は、あろうことか九陰真経の原本を引き裂いてしまったのだ。やがて、郭靖たちが桃花島を去る時がやってきた。周伯通は黄薬師(こう・やくし)が「壊れている」というのも聞かず、大きな船に乗って帰るのだと言い出し…。
25話
「九陰“偽”経を書け」。洪七公(こう・しちこう)の言葉に目を丸くする郭靖(かく・せい)。九陰真経を欲しがる欧陽克(おうよう・こく)は、経典の実物を目にしたことはないのだから、もっともらしい嘘を教えても疑われることはない――というのが、洪七公の考えだった。2人は相談しながら、九陰偽経の文面を考えるのだった。一方、完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)一派の手を逃れた梅超風(ばい・ちょうふう)は…。
26話
黄蓉(こう・よう)と洪七公(こう・しちこう)、そして欧陽克(おうよう・こく)の乗った小舟が陸地に到着した。毒にやられた洪七公を看病する黄蓉。欧陽克も毒消しを持っておらず、乗ってきた小舟もいつの間にか海に流されてしまったらしい。まさに八方ふさがりの状態のなか、時間は刻々と過ぎ、丐幇の新幇主を決める7月15日が近づきつつあった。新幇主を指名するのは洪七公の役目。焦る彼の頭の中に名案が閃き…。
27話
潮が満ちてきた。黄蓉(こう・よう)の罠にはまり、脚が大岩の下敷きになった欧陽克(おうよう・こく)は、砂浜に横たわったまま死を待つしかなかった。「私が必ず救い出してやる」と欧陽鋒(おうよう・ほう)は言うが、岩を動かすことは不可能だ。最期の時が近いと覚悟を決めた彼は、物心がついて以来、頭を離れることがなかった疑問を欧陽鋒に突きつける――あなたが私の父親なのでしょう、と…。
28話
経典の文言がデタラメだとは知らず、欧陽鋒(おうよう・ほう)は克(こく)の治療に励んでいた。効果がないのは謎の文字が羅列されている箇所の意味が分からないせいだと考えた欧陽鋒は、強引に船の行き先を変えさせて郭靖(かく・せい)たちを追うのだった。一方、郭靖たちはいかだで漂流を続けていた。近づいてくる船の姿を見つけた3人は大喜びするが、それは欧陽鋒らが乗る完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)の船で…。
29話
完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)の船を離れ、ようやく自由の身となった郭靖(かく・せい)一行。陸地を進むうちに、彼らはとある村へとたどり着く。そこは牛家村――かつて郭靖と楊康(よう・こう)の両親が住んでいた場所であった。一方、いまだ洋上にあった完顔洪烈の船に、近づく小舟が。乗っていたのは黄薬師(こう・やくし)である。娘を捜しているという彼に、侯通海(こう・つうかい)は黄蓉の死体を見たと出任せを言い…。
30話
武穆遺書を奪い、金と決別し、穆念慈(ぼく・ねんじ)と共に牛家村へ。すべては自らが思い描いた通りに進みつつあったが、楊康(よう・こう)は浮かぬ顔だった。それは師に恵まれず武芸者として大成できずにいることが理由かもしれない――彼は自分の心の内を欧陽克(おうよう・こく)に打ち明けるのだった。一方、郭靖(かく・せい)は宮廷料理が食べたいという洪七公(こう・しちこう)のわがままから、皇宮へ忍び込む羽目に…。
31話
楊康(よう・こう)が完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)らと行動を共にしているのを知り、憤る郭靖(かく・せい)。「両親の死も兄弟の契りも忘れたか?」という問いに、楊康は平然と「私は金の完顔康だ」と返すのだった。説得を続けようにも、武穆遺書を狙う欧陽鋒(おうよう・ほう)が攻め立ててくる。正対し、その掌風を受け止めた郭靖だったが、不意に脇腹に激痛が。隙ありと見た楊康が、匕首を突き立てたのだ…。
32話
郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)が治療を続ける隠し部屋に、霊智(れいち)上人たちが迫る。戸口に立ちはだかるようにしていた曲(きょく)の娘の「幽霊だ!」という声に振り返えると、彼らの視線の先には黄色い衣をまとった仮面の男が。「ニセ黄薬師(こう―やくし)のお出ましだ」と侯通海(こう・つうかい)。だが、仮面を取ろうと近づいた沙通天(さ・つうてん)は、前蹴りをくらって吹っ飛び…。
33話
黄薬師(こう・やくし)を討とうと待ち受ける全真七子。禍々しい風が、荒れ果てた曲三酒館を吹き抜ける――しかし、彼らの前に姿を現したのは、意外や梅超風(ばい・ちょうふう)だった。師匠を待ち伏せしていたと聞かされては、梅超風も黙ってはいられない。単身で挑む梅超風に、道士たちは天剛北斗陣を敷いて迎え撃つ。やがて、孤軍奮闘を続けていた梅超風は、一瞬の隙を突かれ窮地に。それを救ったのは…。
34話
曲三酒館に佇む3人――点穴を施されて身動きすることのできない穆念慈(ぼく・ねんじ)と程瑤迦(てい・ようか)、陸冠英(りく・かんえい)の間を、欧陽克(おうよう・こく)が足を引きずりながら歩き回っていた。穆念慈に触れ、不埒な言葉をささやく欧陽克。そこへ、楊康(よう・こう)が。欧陽克は慌ててその場を取り繕うが、楊康は気にしていない素振りだ。しかし、匕首を手に態度を豹変させた楊康は…。
35話
裘千仞(きゅう・せんじん)の罠にはまったコジン、トゥルイ、ジェベを救った郭靖(かく・せい)。しかし、一件落着とはならなかった。郭靖の“許婚”であるコジンが目の前にいるのだから、黄薬師(こう・やくし)は面白いはずがない。言い争うトゥルイと黄薬師、自分をかばうコジンの声、そして「情を軽んじるは人にあらず」という柯鎮悪(か・ちんあく)の言葉を、神妙な面持ちで聞いていた郭靖は…。
36話
郭靖(かく・せい)から奪った武穆遺書の在り処を示す書画を手に、完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)たちのもとへと戻った楊康(よう・こう)。彼は、欧陽鋒(おうよう・ほう)にも“貢ぎ物”を準備していた。それは郭靖と黄蓉(こう・よう)――2人の身柄を手土産に再び弟子入りを願い出た楊康は、ついに欧陽鋒の承諾を得たのであった。一方、沙通天(さ・つうてん)から事の次第を聞いた穆念慈(ぼく・ねんじ)は…。
37話
丐幇の新幇主として、「南方へ移動せよ」と命じた楊康(よう・こう)。それに強く反対した黎生(れい・せい)と余兆興(よ・ちょうこう)は、後事を魯有脚(ろ・ゆうきゃく)に託すと、自らの喉笛を掻き切って果てた。命懸けの抗議にどよめく丐幇の一団。2人の遺志を継いで楊康に意見する魯有脚に挑みかかった裘千仞(きゅう・せんじん)は、いつの間に身につけたのか達人級の腕前を披露して相手の動きを封じ…。
38話
穆念慈(ぼく・ねんじ)が語る高辛(こうしん)と辛女(しんじょ)の伝説。そこには一刻も早く祝言を挙げたいという彼女の本心が隠されていた。それを感じ取った楊康は、完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)に直談判。すると完顔洪烈は、拍子抜けするほどあっさり承諾するのだった。実のところ、完顔洪烈は婚礼のどさくさに紛れ、鉄掌幇の禁足地である中指峰に踏み込んで、武穆遺書を奪おうと企んでいたのだ…。
39話
鉄掌山の五指峰を逃げ惑ううち、郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は、鉄掌幇の聖地へと足を踏み入れていた。怪しげな仕掛け扉を前に、どうすれば開くのかと思案する黄蓉。すると扉はひとりでに開き、中からは重そうな包みを背負った裘千仞(きゅう・せんじん)が現れた。だが、2人を追っているはずの裘千仞が、先回りをできるはずはない――利口な黄蓉は真相を見抜く。「裘千仞は2人いたのよ」…。
40話
桃源に着いてから開けるようにと、瑛姑(えいこ)から手渡された3つの袋。2つ目の赤い袋には、「“娘を治せるのは段(だん)皇帝のみ」「治療を請う者は漁(ぎょ)―樵(しょう)―耕(こう)―読(どく)に阻まれる”」と書かれた紙が入っていた。その謎めいた言葉が示す通り、郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)の行く手にある橋の上には、道を塞ぐようにして腰かけて釣り糸を垂らす釣り人の姿が…。
41話
今をさかのぼること20年前、“王真人”こと王重陽(おう・ちょうよう)は弟弟子である周伯通(しゅう・はくつう)を連れて、大理国を訪ねた。一灯(いっとう)大師――段智興(だん・ちこう)と武芸の腕を磨き合うためである。一方、日が経つにつれて退屈し始めた周伯通は、皇宮で遊ぶようになっていた。そんななか、彼は劉(りゅう)貴妃と出会う。男女の隔てに無頓着な周伯通は、ある禁忌を犯し…。
42話
“悪しき者が本書を得れば、必ずや至高の武芸で世に害をなすであろう。万一を防ぐため梵語を中文に音訳した”。九陰真経の謎は解けた。そのおかげで、失われた自分の武芸も、洪七公(こう・しちこう)の内功も取り戻すことができるはずだと、一灯(いっとう)大師は請け合うのだった。急いで洪七公に九陰真経の奥義を伝えよう――郭靖(かく・せい)と黄蓉(こう・よう)は一路、酔仙楼のある嘉興を目指す…。
43話
全真七子が譚処端(たん・しょたん)の仇である黄薬師(こう・やくし)を討ちに行くつもりだと知った柯鎮悪(か・ちんあく)たちは、桃花島へ行き仲裁するのだという。真の下手人が欧陽鋒(おう・ようほう)だと知っている郭靖(かく・せい)としては、成り行きが気になるものの、コジンと落ち合うという約束も無視できない。後ろ髪を引かれる思いで、師匠たちに別れを告げる郭靖。それが今生に別れになろうとは思いもせずに…。
44話
「夜が明けたら、あなたは姫と蒙古へ。私たち、二度と会えなくなる」。この歌が自分の最後の思い出として、郭靖(かく・せい)の心に残るように――そんな思いを込めて、黄蓉(こう・よう)は歌う。涙にくれた2人は、言葉もなく抱きしめ合うのだった。明くる日、臨安へと旅立とうとする郭靖のもとに、ある知らせが舞い込む。トゥルイからのものらしい手紙には、コジンが郭靖との婚約を取り消したと書かれており…。
45話
7人の道士たちを相手に、黄薬師(こう・やくし)は鬼神の如き戦いぶりを見せていた。傷ついた尹志平(いん・しへい)に代わって、相手を買って出たのは柯鎮悪(か・ちんあく)である。すかさず加勢する道士たち。師匠の危機だと見てとった郭靖は、酔仙楼を飛び出し戦いの輪の中へ。さしもの黄薬師も身動きを封じられ、郭靖が最後の一手“飛龍在天”を放とうとした時、全真七子の筆頭・馬―(ば・ぎょく)がそれを制し…。
46話
欧陽鋒(おうよう・ほう)が現れたことで全真派の道士たちは色めき立ち、酔仙楼には再び不穏な空気が流れ始める。そこに割って入った洪七公(こう・しちこう)は、腕比べをするのは明日8月15日のはずだと諭し、一触即発の危機を回避するのだった。その夜、たき火を囲んで話す、黄薬師(こう・やくし)、欧陽鋒、洪七公の言葉を聞きながら郭靖は考えていた。武穆遺書を誰に託すべきだろうか、と…。
47話
欧陽鋒(おうよう・ほう)たちの前に姿を見せた黄蓉(こう・よう)は、全真派の道士たちにつけ狙われて困っている父から、欧陽鋒に助太刀を頼んでこいと命じられたと告げた。しかし、彼女は一行の中に曲霊風(きょく・れいふう)の娘が混じっているのに気づき、郭靖(かく・せい)の5人の師匠が殺された日、桃花島で何があったのかを彼女から聞き出し、廟の奥に隠れている柯鎮悪(か・ちんあく)に聞かせようと目論んでいたのだ…。
48話
霊智(れいち)上人らの身柄を全真教の道士たちに委ねた郭靖(かく・せい)は、欧陽鋒(おうよう・ほう)に連れ去られた黄蓉(こう・よう)の行方を捜し続けた。しかし、丐幇の仲間たちの協力を得てもなお、彼女の姿はおろか、手がかりを見つけることもできずにいた。加えて、武穆遺書に目を通してみても郭靖の頭ではさっぱり理解できない。「お蓉、一体どこにいるんだ?」――郭靖の苦悩は深く…。
49話
ボルジュが戦死した。刺さっていた矢には“大金 趙(ちょう)王”の銘が――ホラズム国に身を投じた完顔洪烈(ワンヤン・こうれつ)である。季節は冬、要害堅固な城に立てこもる十数万の兵が相手では、苦戦は必至だ。黄蓉(こう・よう)がいてくれれば妙策を考えてくれるはずなのにと、ほぞを噛む思いの郭靖(かく・せい)。そんな郭靖のもとに、魯有脚(ろ・ゆうきゃく)が思いもよらぬ知らせを…。
50話
郭靖(かく・せい)はコジンとの婚約解消をチンギスハーンに願い出なかった。それを聞いた黄蓉(こう・よう)は落胆し、「やっぱり大ハーンの婿殿がいいのね」と言い残すと、陣を出て行ってしまった。すぐさま馬で追いかけた郭靖は、砂漠に残る奇妙な足跡を目にする。しばらくすると、助けを求める声が。その方向へ馬を走らせると、流砂の中に胸まで飲みこまれた欧陽鋒(おうよう・ほう)の姿が…。
51話
チンギスハーンに罰せられることもいとわず、トゥルイとジェベは自分を逃がしてくれた。コジンも己の行いを心から詫び、体をいたわるようにと見送ってくれた。しかし、郭靖(かく・せい)の心は沈んでいた。必死で武芸を学んだのに、大事な人たちを守れなかったという無力感に打ちひしがれていたのだ。武芸に何の意味があるのだろうか――答えの出ないまま、故国で洪七公(こう・しちこう)と再会した郭靖は…。
52話 最終話
華山の頂で繰り広げられる洪七公(こう・しちこう)と郭靖(かく・せい)の奥義の応酬――その手合わせは、ついに300手目を数えた。「靖さんが天下一よ」という黄蓉(こう・よう)の喜びに満ちた声が響き渡ったその時、「天下一はこの私だ」という声が。現れたのは欧陽鋒(おうよう・ほう)である。彼との勝負を受けて立つ郭靖。デタラメな九陰真経を逆から修行した欧陽鋒は、逆立ちのまま奇妙な、しかし鋭い技を繰り出し…。【完結】